
液剤を知る
導電性ペースト(Conductive Paste)は、電子部品・プリント基板などに電気経路を形成するための導電性材料です。銀ペースト・銅ペーストなどに代表され、スクリーン印刷やディスペンス方式で塗布され、加熱・UV硬化により導電性を発揮します。 一方で、塗布工程ではノズル詰まりや吐出ばらつきなどの課題が多く、本ページでは高精度ディスペンサーを用いた歩留まり改善の事例を紹介します。
導電性ペーストは、使用する導電フィラーの種類やバインダー構成により、電気特性・コスト・耐久性が大きく異なります。用途に応じて最適なペーストを選定することが重要です。以下に、代表的な導電性ペーストの種類ごとの主成分・特性・用途を比較し、導入時の参考になる情報をまとめました。
| ペースト名 | 主成分 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 銀ペースト | 銀粉 + エポキシ樹脂など |
最も高い導電率、 耐酸化性、 信頼性◎ |
FPC補修、 電極接続、 アンテナ基板 |
| 銅ペースト | 銅粉 + 樹脂 |
導電率高・ 酸化しやすい・ 表面処理要 |
車載用途、 EMI対策、 コスト重視回路 |
| カーボン ペースト |
グラファイト or カーボンブラック |
導電率低いが安価・ 柔軟・耐薬品性◎ |
タッチセンサー、 加熱シート、 ESD対策 |
| 金ペースト | 金粉 + 高耐熱ポリマー |
高価・高信頼・ 耐食性◎ |
医療機器、 宇宙航空、 MEMS分野 |
| はんだ ペースト |
Sn合金 + フラックス |
導電性○、 実装向け、 熱で融解 |
SMT実装、 基板実装工程で必須 |
導電性ペーストの粘度は、吐出方式の選定、ノズル詰まり、線幅安定性に大きく関与します。
| ペーストタイプ | 粘度の目安(mPa·s) | 備考 |
|---|---|---|
| 銀ペースト(高濃度) | 30,000~100,000以上 | 線引き安定性は高いが、ニードル詰まりに注意 |
| 銅ペースト | 10,000~50,000 | 酸化防止剤の影響で粘度変動に注意 |
| カーボンペースト | 3,000~20,000 | 比較的低粘度 |
| はんだペースト | 100,000前後 | ディスペンスに対応 |
注意点:
導電性ペーストの電気的性能は、体積抵抗率(Ω·cm)で評価され、値が小さいほど導電性が高くなります。銀ペーストと金ペーストは導電性が非常に高く、高信頼性用途に最適。銅ペーストはコストメリットが大きく、量産分野での採用が進行中。
一方、カーボンペーストは柔軟性重視の設計で使用され、はんだペーストは接合強度と低抵抗を両立します。
体積抵抗率はおおよそ 1×10⁻⁴~5×10⁻⁵ Ω·cm。
金属系ペーストの中で最も高い導電性を持ち、酸化に強く安定した電気特性を示します。微細電極形成や導通信頼性が重視される製品に最適です。
体積抵抗率はおおよそ 2×10⁻⁴~5×10⁻⁴ Ω·cm。
銀に比べ導電性はやや劣りますが、材料コストは約1/10と安価で、量産用途に広く採用されています。酸化しやすいため、焼成条件や雰囲気制御が重要です。
体積抵抗率はおおよそ 1×10⁻²~1×10⁻¹ Ω·cm。
導電性は金属系より低いものの、柔軟性・耐薬品性・耐熱性に優れており、フレキシブル基板やセンサーなど変形を伴う用途に適しています。
体積抵抗率はおおよそ 2×10⁻⁵~5×10⁻⁵ Ω·cm。
銀に近い高導電性を持ち、化学的安定性・耐腐食性が極めて高いのが特徴です。医療機器や高信頼性接合など、限定された分野で採用されます。
体積抵抗率はおおよそ 1×10⁻⁵~5×10⁻⁶ Ω·cm(リフロー後)。 加熱・溶融後に金属接合を形成し、極めて低い抵抗値を示します。プリント基板や電子部品の接合用途に使用されます。
用途や基材の耐熱性により、熱硬化、UV硬化、室温硬化などが選択されます。
| 硬化タイプ | 条件例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 熱硬化 | 120~180°C × 30~60分 | 一般的。接着性・導電性に優れるが 耐熱基板が必要 |
| UV硬化 | UV照射(例:2000mJ/cm²) | 短時間で硬化。透明基材対応。 バインダー設計に制限あり |
| 常温硬化 | 室温 × 数時間~24時間 | 一部の銀ペースト・導電接着剤に対応。 低温基板向き |
| 加熱+UV併用 | 80°C前後加熱後UV照射 | 複合材料・低温対応ペーストで 使われることも |
用途や基材の耐熱性により、熱硬化、UV硬化、室温硬化などが選択されます。
特徴:長期保存が可能。
注意点:解凍時に分離や結露が起こりやすく、撹拌が必須となります。
特徴:高温耐性・高性能要求に対応。
注意点:一度解凍した製品は再冷凍不可です。
特徴:相互反応を防止。
注意点:組成変化リスクの低減に有効です。
導電性ペーストは、導電性の高いフィラーと樹脂を組み合わせた材料として、電子回路や部品接合における信号伝達・電流供給・ノイズ対策などに幅広く活用されています。
近年では、製品の小型化・柔軟化が進む中で、従来の金属配線では対応が難しい局所配線や特殊形状にも適応可能な材料として、用途がますます拡大しています。

細かなクラック(ひび割れ)や断線が起きた部分に導電性ペーストを塗布することで、再び電気が流れるように補修できます。
細かなクラック薄膜・透明・微細パターン対応が求められます。ガラスなどの透明な素材に、薄くて透明な電極パターンを細かく描く必要があるため、高精細な塗布技術と材料の透明性が求められます。
RFIDやBluetoothなどのアンテナパターン形成に。電波の通り道(アンテナ)を作る際に、導電性ペーストでパターンを形成し、設計に応じた周波数特性(通信性能)を確保します。
接点部への導電接着剤として。加熱硬化タイプで接着+導電性を同時に実現します。
温度や湿度、圧力などを感知するセンサーの中にある信号配線の形成に使われます。カーボンや銀入りのペーストが使われることが多いです。
導電性ペーストは、フィラーを高濃度に含むため粘度が高く、粒子径も比較的大きいケースが多くあります。このため、一般的な液剤に比べて塗布時にさまざまなトラブルが起きやすく、製品不良や歩留まりの低下を招く要因になります。
導電性ペーストの塗布は、材料特性・粘度・硬化条件など複数の要素が複雑に関係し、安定した品質を実現するためには精密なディスペンス制御が欠かせません。SAN-EI TECHでは、銀ペーストや銅ペーストなどの高粘度材料に対応した高精度ディスペンサー技術を活かし、さまざまな生産現場の塗布課題を解決してきました。

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