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ディスペンサー技術ガイド

加圧タンク選定の考え

ディスペンス工程において、加圧タンクは材料をストックし、一定圧で連続供給するための重要な上流装置です。
しかし、タンクといっても構造や運用特性は大きく異なり、材料切替の頻度、気泡混入の許容度、洗浄工数、コスト要求など、工程ごとに求められる条件によって最適な方式は変わります。
前編では、内容器(ライナー)式、直接投入式(上方液送)、直接投入式(下方液送)の 3種類の加圧タンクの構造と用途の違いを解説しました。

本編では、それら3方式をどのような基準で選定すべきかを、製造現場の実情に沿って整理していきます。
「材料切替が多いラインでは?」「気泡を避けたい工程では?」「洗浄を減らしたい場合はどれを選ぶ?」といった、よく寄せられる疑問に対し、判断のポイントを明確に示します。
加圧タンクはディスペンス品質・歩留まり・タクトに直結するため、適切な方式を選ぶことは設備設計において非常に重要です。本記事が、各工程条件に応じた加圧タンク方式を検討される際の参考となれば幸いです。

工程条件別 加圧タンクの選定のポイント

1. 材料切替が多い場合は「内容器方式(ライナー式)」が最適

材料の種類が多い工程では、材料切替のたびに発生する“洗浄・乾燥・再立ち上げ”の工数がそのまま生産性に影響します。特に、接着剤や溶剤、樹脂材料はタンク内に残渣が残りやすく、洗浄を確実に行うには時間だけでなく作業スキルも要求されます。
内容器方式(ライナー式)は、材料がタンク本体に触れない構造であるため、切替時の作業が「内容器の交換のみ」で完了します。

工程設計上の観点では、ライナー式を採用することで“材料切替がボトルネックになっていたライン” のタクト改善が見込め、少量多品種・多品種少量の生産形態に特に効果を発揮します。また、製造条件が頻繁に変わる試作ラインでは、材料切替時間の短縮=検証サイクルの高速化に直結するため、装置稼働効率の向上にも寄与します。


こんな現場におすすめ
  • 1日の中で複数回材料を切り替えるライン
  • UV接着剤・溶剤など、洗浄に時間がかかる材料を扱う工程
  • タンク壁面の材料残渣やにおいが問題となる工程(洗浄NG)
  • 洗浄後の乾燥・清浄確認に時間がかかるライン
  • タクトが厳しいライン(段取り時間を最小化したい場合)
  • 作業者ごとの“洗浄品質バラつき”を避けたい現場

内容器方式(ライナー式)タンク

内容器方式(ライナー式)

2. コストを重視し、材料交換が少ない場合は「直接投入式(上方液送)」

直接投入式(上方液送)は、タンク本体に材料をそのまま投入して使用する最もシンプルな方式で、装置構造が簡潔で部品点数も少ないため、導入コスト・保守コストともに最も低く抑えられるという利点があります。
工程側の観点では、タンク洗浄が必要であっても、材料を頻繁に切り替えない単一材料ラインであればその負担は限定的となり、結果としてトータルコスト(TCO)が最も低くなるため、量産設備における採用率が非常に高い方式です。
また、材料供給の安定性においても、標準的な粘度の接着剤・樹脂材料であれば、上方液送の構造でも十分に安定供給が可能であり、気泡混入や沈降といった課題が発生しにくいことから、「性能 × コスト」のバランスが最も良いタンク方式として評価されています。


こんな現場におすすめ
  • 1種類の材料を長期間使用するライン
  • 交換頻度が少ない工程
  • コスト優先でタンクを導入したい
  • 金属加工油など比較的洗浄が容易な液体の圧送
  • 標準タンクで十分な供給圧が得られる場合
直接投入式(上方液送)タンク

直接投入式(上方液送)


3. 気泡混入を確実に抑えたい場合は「直接投入式(下方液送)」が最も安定

直接投入式(下方液送)は、タンク底部から材料を押し上げる構造のため、供給ラインへの空気巻き込みが起きにくく、気泡混入を抑えたい工程で最も優位です。
工程設計の観点では、下方液送を採用することで得られるメリットは多岐にわたります。材料が常に満液状態で供給されるため、膜厚の均一性が向上し、コーティング工程の品質安定に寄与します。
また、光学デバイスや車載モジュールなど、高い信頼性が求められる分野では「気泡を抑える」が前提条件となる場合が多く、下方液送はその要求を満たしやすい方式です。


こんな現場におすすめ
  • 沈殿・分離が発生する液剤に対して攪拌が必要な場合
  • 均一膜厚が求められるコーティング工程
  • 液体の自重でポンプなどに液剤を落とし込みたい場合
  • 気泡巻き込みを最小化したい場合
直接投入式(下方液送)タンク

直接投入式(下方液送)

加圧タンク選定表

評価項目 内容器方式
(ライナー式)
直接投入式
(上方液送)
直接投入式
(下方液送)
材料切替頻度 ◎ 最適(洗浄レスで切替数分) △ 洗浄が必要。切替に手間 △ 洗浄が必要。切替は最も重い
洗浄工数(清掃負荷) ◎ 最小(洗浄不要) ◯ 標準レベル △ やや高い
気泡混入リスク ◯ 一般用途で問題なし △ 巻き込みやすいケースあり ◎ 最小(供給ラインが満液になりやすい)
大量供給(タンク容量) △ ライナー容量に制限あり ◎ 1~20L まで対応 ◎ 1~20L まで対応
沈降·分離対策(攪拌) × 基本不可 △ 一部対応 ◎ 攪拌オプションに最適
材料特性との相性 UV接着剤・溶剤・洗浄NG材料に最適 加工油等比較的粘度が低めで洗浄性の良い材料 気泡NG材料・沈殿/分離する材料に最適
導入コスト ◯ 中程度 ◎ 最安(最もコスト効率良い) △ やや高い(構造が複雑)
ランニングコスト ◎ 洗浄レスで工数激減 ◯ 標準 △ 洗浄負荷が増える場合あり
推奨用途 少量多品種・試作・UV/溶剤 標準量産・単一材料ライン・金属加工 基板実装関連

タンクは「材料を入れる缶」ではなく、量産の心臓部

ディスペンサーの性能を最大限に引き出すためには、材料供給圧の安定化 → バルブ → ノズルという一連の流れの中で、上流側であるタンクがいかに安定して材料を送り出せるかが、塗布品質を決定づけます。

標準バルブシステム(タンク供給仕様)

標準バルブシステム(タンク供給仕様)イメージ図

直接投入式(下方液送)


SAN-EI TECHのタンクラインナップ

当社では、材料特性・粘度・工程要求に応じて選べる 3種類の加圧タンクをご用意しています。

標準タイプ(内容器式)

標準タイプ(内容器式) 製品詳細はこちら

下方液送タイプ(直接投入式)

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ステンレス軽量タイプ(直接投入式)

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