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エネルギー

蓄電池セル内部コンポーネントへのRTVシリコーン点塗布による固定精度と生産効率の向上

課題背景

蓄電池はEV・再生可能エネルギー用途をはじめ、産業から家庭まで幅広く用いられており、製造工程における信頼性の高さが製品競争力を左右します。特にセル内部のコンポーネント固定は、振動や衝撃に耐えながら長期間安定して動作させるための重要工程です。
しかし従来のRTVシリコーン塗布工程では以下のような課題がありました:

  • 液だれによる品質低下
    塗布後の残圧によりシリコーンがにじみ出し、液だれが発生。周辺の配線や部品に付着して外観不良や絶縁性低下を招き、リワーク増加や歩留まり低下の要因となっていた。
  • 塗布精度のばらつき
    作業者スキルや設備条件によって吐出量に差が生じ、固定強度に不均一が発生。特に微小な隙間や深部では塗布不足が起こりやすく、耐久性を損なうリスクがあった。
  • 量産性の制約
    液だれ対応や不良検出による追加工程が発生し、タクト短縮が困難。大量生産ラインでは、効率性・コスト・品質のいずれにおいても課題が顕在化していた。

導入効果

  • 液だれ防止と安定した塗布
    ピストンバルブSV35DAおよびeco-PENシリーズのサックバック機能により、塗布終了時に残圧を確実に解除。液だれや糸引きが解消され、周辺部品への汚染がなくなった。結果としてリワーク率が大幅に低減し、生産現場のクリーン性も改善。
  • コンポーネント固定の信頼性向上
    必要量を正確に安定供給できるため、セル固定部の強度が均一化。振動・衝撃試験や長期稼働評価でも安定した性能を発揮し、最終製品の信頼性が向上。不具合リスクを大幅に低減。
  • 量産工程における効率化
    高性能直交ロボットを用いた多点同時処理により、タクトタイムが短縮。従来の検品・補修工程が削減され、スループットが向上。多品種ラインでも段取り替えが容易で、柔軟な量産体制を構築可能となった。
  • コスト削減と歩留まり改善
    液だれや塗布不良による材料ロスが減少し、高価なRTVシリコーンの使用効率が最適化。さらにリワーク削減による工数低減が加わり、総合的に製造コストを削減。歩留まり率は改善し、生産性・収益性の向上につながった。
  • 長期的な信頼性とブランド価値の強化
    均一で美しい塗布仕上がりにより、製品の外観品質・耐久性・安全性が強化。市場における信頼性評価が向上し、EVや蓄電システムといった高信頼性市場での競争力強化につながった。

導入製品

ピストンバルブ SV35DA

RTVシリコーンなど中高粘度材料の点塗布に最適。蓄電池セル固定に不可欠な液切れ性と安定性を確保。

  • サックバック動作で液剤を確実にシャットオフ
  • UHMWダイアフラム採用で高寿命化
  • 液剤混入を防ぎ、安定した塗布品質を維持
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高性能直交ロボット AXGシリーズ

大規模量産ラインに対応し、複数セルを同時処理可能。工程効率化とタクト短縮に貢献。

  • 3軸・4軸タイプで広範囲ワークに対応
  • 簡単ティーチングでスピーディーに条件設定
  • カメラ補正機能により正確な位置決め
  • 多品種生産にも柔軟に適応
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容積移送式高精度マイクロディスペンサー
preeflow® eco-PEN300/450/600/700 3D

低〜高粘度液剤を±1%の精度で定量供給可能。RTVシリコーンのような難しい材料でも高精度な微小塗布を実現。

  • 容積移送式で±1%の吐出精度を実現
  • 脈動のない安定した連続吐出
  • サックバック機能により液ダレを防止
  • 吐出流量(ml/分、g/分)を自由に設定可能
  • 材料特性を損なわず、長期安定稼働をサポート
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