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食品

ジャムやペーストなど高粘度食品材の小容量充填による精度向上とコスト削減

課題背景

食品製造ラインにおいて、ジャム、ペースト、クリームなどの高粘度食品材を小容量カップやスティックパウチに充填する工程は欠かせません。ホテルの朝食用ジャム、外食チェーンの調味料パック、コンビニのデザート用ソースなど、用途は非常に多岐にわたり、小容量包装は消費者にとって利便性の高い製品形態です。その一方で、製品の品質や内容量の均一性は消費者満足度やブランドイメージに直結するため、製造現場では特に厳格な管理が求められます。

しかし、従来の充填方式では以下のような課題がありました。

  • 小容量ゆえの誤差拡大
    10~20ml程度の小容量では、わずか数mlの誤差がそのまま製品不良につながります。たとえば、15ml規格のスティックパウチで±2mlの誤差が出ると、消費者にとって「少ない」と感じられるか「入れすぎで不自然」と見なされるリスクがあります。さらに、不足充填は規格外品として廃棄、過充填は材料ロスにつながるため、どちらの場合も歩留まりを大きく低下させていました。
  • 材料ロスとコストの増加
    特にジャムやクリームなどは原価が高いため、数ml単位の過充填が積み重なると年間で膨大な材料ロスとなります。大量生産される小容量製品では、一見わずかな誤差でも数十万パック単位で換算すると大きなコスト負担となり、利益率を圧迫していました。
  • 生産効率の低下
    小分け充填は需要の多様化により、多品種少量生産が増えています。そのため、製造ラインでは頻繁なロット切替や容量変更が避けられません。しかし従来装置は構造が複雑で、容量調整や洗浄作業に時間を要し、切替時にラインを長時間停止させざるを得ないケースもありました。結果として稼働率が下がり、生産計画全体に影響を与えていました。

導入効果

新たに導入したサニタリー充填ポンプ(食品向けシリーズ)は、10mlから2,000mlまでの投与量に対応できる柔軟性 と、13ml/分~80ℓ/分という幅広い流量レンジを備えており、小容量充填において従来の課題を大きく改善しました。

  • 小容量でも高精度な充填を実現
    従来は10~20ml程度の小容量充填で数mlの誤差が大きな問題となっていましたが、サニタリー充填ポンプは±1%の高精度で安定吐出が可能。これにより、15ml規格であれば誤差は±0.15ml以内に収まり、消費者にとって「ちょうどいい量」の製品を提供できるようになりました。
  • 材料ロスの削減とコスト効率向上
    過充填を防ぐことで、原材料の無駄を抑制。ジャムやクリームなど単価が高い原材料では、数ml単位の改善でも年間を通じて大きなコスト削減効果につながります。あるラインでは、導入後に原材料使用量が約5~8%削減され、利益率改善に直結しました。
  • 小ロット・多品種生産への柔軟対応
    投与量レンジが広く、設定変更も容易なため、小容量のスティックパウチから中容量のカップ充填まで同一設備で対応可能。従来はラインごとに設備を分ける必要がありましたが、導入後は一台で幅広い製品仕様に対応でき、ライン切替時間も大幅に短縮されました。
  • 洗浄性・衛生性の強化
    EHEDGやFDAなど国際食品衛生基準に準拠した設計により、残渣リスクや微生物汚染の懸念が低減。シンプルな構造で分解・洗浄が容易なため、頻繁な切替や衛生管理の要求にも対応可能になりました。

導入製品

サニタリー充填ポンプ(食品向けシリーズ)

ジャムやペーストなどの高粘度食品材を小容器へ正確かつ効率的に充填できる最適ソリューションです。

  • 投与量:10ml~2,000ml に対応(小容量から大容量まで柔軟対応)
  • 体積流量:13ml/分~80ℓ/分
  • EHEDG、FDAなど国際食品衛生基準に準拠
  • シンプル構造で洗浄・メンテナンス容易