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家電

電子レンジ扉外周へのシリコン材塗布による気密性・耐久性の向上

課題背景

電子レンジは加熱調理を行う際、庫内に高温・蒸気・油煙・臭気が発生します。これらが本体外部に漏れ出すと、ユーザーの使用環境に悪影響を与えるだけでなく、製品寿命や安全性の低下につながります。そのため、扉と筐体のわずかな隙間を確実にシールし、気密性を維持することは製品設計上の必須条件でした。特に扉外周は開閉のたびに繰り返しストレスがかかるため、シール材には高い耐久性・柔軟性・接着力が求められ、シリコン材が一般的に使用されています。

しかし、この高粘度シリコン材は吐出・塗布の制御が非常に難しく、従来のディスペンス装置では以下の課題が発生していました:

  • 塗布ラインの不安定
    高粘度材は流動性が低く、既存装置では安定した吐出が難しいため、塗布ラインが途切れたり蛇行するケースが頻発。その結果、部分的に隙間が残り、気密性が確保できない不良品が発生していた。
  • 頻繁な吐出量調整の必要性
    粘度が温度や保管条件によって変動するため、吐出量をこまめに調整しなければならず、作業負担が大きかった。調整不足のまま生産を続けると塗布量不足・過剰が発生し、再加工や廃棄が増加。結果として生産効率の低下や材料ロスの増加を招いていた。

導入効果

新たに導入した高粘度液剤吐出装置と高圧バルブの組み合わせにより、従来課題であった不安定な塗布ラインや頻繁な調整作業は大幅に改善され、以下のような効果が得られました。

  • 安定した高粘度材の吐出
    高圧ポンプと専用バルブの連携により、従来は困難であった高粘度シリコン材の安定吐出が可能になりました。途切れや蛇行のない連続したシールラインを形成できるため、均一性の確保が容易となり、従来のようなライン不良による歩留まり低下が大幅に減少しました。
  • 品質の安定化と気密性の向上
    均一なシリコン塗布により、電子レンジ扉外周の隙間を確実に封止。内部の熱・湿気・臭気が外部に漏れることを防ぎ、製品としての安全性・快適性が大幅に向上しました。特に量産時でも塗布品質が安定するため、製品の信頼性が向上し、出荷後のクレーム件数も削減されました。
  • トータルコスト削減
    不良率が減少したことで再加工や廃棄が減り、材料ロスの削減にも直結しました。また、安定吐出によりノズル詰まりや部品摩耗が減少し、メンテナンス頻度も低下。結果としてランニングコスト全体が削減され、生産ライン全体のコストパフォーマンス向上に貢献しました。

導入製品

SV47AUTOCANの組み合わせ は、従来困難とされた 「高粘度材の安定ライン塗布」を確実に実現し、電子レンジのように高い気密性・信頼性が求められる製品において、品質向上とコスト削減の両立を可能にしました。

高圧スプールバルブ SV47

SV47は、封止材やグリスといった高粘度液剤を高圧力で安定吐出できるスプールバルブです。電子レンジのように気密性が重視される製品の塗布工程に最適で、均一なライン形成を実現します。

  • 最大液剤加圧17.2MPaまで対応可能
  • シンプル構造で操作・清掃が容易
  • 耐久性の高い設計で長期間安定稼働
  • 高圧でも安定した流量制御が可能で、気密ライン形成に最適
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缶入り高粘度液剤吐出装置 AUTOCAN(小型高圧圧送ポンプ)

AUTOCANは、缶入りの高粘度シリコン材を直接加圧搬送できる小型高圧ポンプです。SV47と組み合わせることで、安定した連続塗布を可能にし、生産ラインにおける信頼性を確保します。

  • 高粘度液を効率的に加圧・供給し、長時間安定吐出
  • 設置面積が小さく、省スペース化に貢献
  • バルブとの組み合わせで「安定したライン塗布」を実現
  • メンテナンスが容易で長期運用に対応
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