液晶　エンジニアリングなよもやま話　vol. 2

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「液晶」自体では画素にならない、色がない、
光らない

フライパンとアポロと東京ドームの意外な接点

瞬間接着剤でも目詰まりしにくいテフロンノズル

これまでのよもやまばなしが閲覧できます。

液晶ディスプレイ（LCD:Liquid Crystal Display）は、パソコン等のディスプレイとしてすっかり定着しています。表示装置として使うためには、光の3原色（RGB）を画素ごとに発光させる必要がありますが、実は「液晶」自体では画素にならない、色がない、おまけに光らないのです。
それではなぜ液晶が表示装置として確固たる地位を築いたのでしょうか？
まずは液晶の説明からはじめます。

液晶とは、液体のもつ流動性と、固体結晶のもつ異方性（方向によって性質が異なる、つまり見る方向によって見え方が違うこと）を兼ね備え、液体と結晶の中間の性質をもつ状態です。また、液晶の分子は電圧を加えると電界に沿って並ぶという性質があります。
液晶ディスプレイは、液晶の分子をねじれた状態で並べておき、電圧をかけた時だけねじれが解けるようにし、偏光フィルタと組み合わせて、光を通過させたり、遮断したりする性質をうまく利用しています。

液晶ディスプレイの表示方式は、棒状の表示単位を「8の字」に並べるセグメント方式と、点の表示単位を縦横の行列に並べるドットマトリクス方式があります。
ドットマトリクス方式の１つ１つの表示単位は、横縞模様と縦縞模様の透明電極で液晶をサンドイッチし、通電した横縞と縦縞のクロスした場所であって、液晶自体が画素ごとに分かれているわけではありません。また、液晶には色もないですから、１つ１つの画素に、光の３原色であるRGB（ブルー）のカラーフィルターをかけることで、カラー表示を実現しています。

液晶は、光を遮断するブラインドのような役目をしているだけですから、自ら発光することができません。液晶を通過する光が必要となります。その光源との位置関係により、透過型、反射型、投影型に分けられます。パソコンモニターは、液晶の背面にバックライトがあり、透過型と呼ばれる方式です。

液晶を最初に発見した植物学者のF・ライニッツァー氏は、液晶がカラーディスプレイに応用できるとは想像もつかなかったのでは…？ありふれた技術でも、後世では全く違う用途でビッグビジネスに化けているかもしれません。

テフロン加工したフライパンが焦げ付かないことは、普通の主婦でも知っています。この「テフロンR」は、米国デュポン社の登録商標名で、PTFE（ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂のことです。テフロンRは非常に安定した物質で、次のような特長があります。

1.　耐薬品性に優れ、高濃度の酸・アルカリ・溶剤などに対して安定
2.　耐熱性に優れ、最高＋260℃の温度環境下で長時間使用できる
3.　電気的に無極性で、高い絶縁抵抗を示す
4.　自己潤滑性に優れ、摩擦係数が氷よりも低い
5.　吸湿性、吸水性が0.00％で、水や油をはじく
6.　耐候性に優れ、屋外の使用でも経年劣化することがない

このようにテフロンRの優れた性質から、NASAのアポロ宇宙計画にも採用されました。宇宙計画に莫大な費用がかかることに対して不平を言う人に、NASAは「宇宙計画で開発した技術は、必ずや地上の生活にも役に立つ」と説得したそうです。その時に、焦げ付かないフライパンができると言ったとか言わなかったとか…。

今日では、フライパンなどの家庭用用品はもとより、工業用品、衣料品、建材などに広く使われています。東京ドームの屋根にもフッ素樹脂でコーティングした建材用膜材が使用されているそうです。

この原稿を執筆している時、「ドレミファソ」が「ドームはフッ素」に聞こえてしまいました。職業病ですかねぇ〜。

低粘度の瞬間接着剤を吐出する場合のディスペンサの吐出ノズルは、針部がテフロン製の「TLCテフロンノズル」が最適です。テフロン製のため、硬化が起きやすい瞬間接着剤と反応せずに目詰まりが起きません。

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