2019年5月13日更新

気泡の問題に希望はあるの

製造現場での「困った実例」を徹底解説。サンエイテックだから実現可能な、すぐに役立つ解決案をご提示します。
今回のテーマ 気泡の発生は、液剤吐出作業において重要な問題になります。気泡が混入している液剤をそのまま吐出すると吐出精度がばらつく原因になります。また、使用するディスペンサーの種類によって、バルブ内駆動部の高速運動によって、液体の流れの中で負圧が発生し、キャビテーション(Cavitation)と言われる小さな泡が多数発生することがあります。
気泡の発生を抑えるには、吐出プロセスの各々の時点で適切な対策が必要になります。
キャビテーションというのは液体の流れの中で圧力差が生じて短時間に泡の発生と消滅が起きる現象のことを言うんじゃ。「空洞現象」 ともいうのう。
塗布現場では吐出精度や安定性に影響が出るから、キャビテーションは問題になってるんだぜ。
あら、エステではキャビテーションは人気なのに〜
エステでは機器を使って気泡を発生させ、消滅時のエネルギーで脂肪細胞を分解、溶解させることでダイエット効果を狙っておるんじゃ。
他にもキャビテーションの技術は、清掃、洗浄業務にも利用されているんじゃよ。
なるほど、キャビテーションって塗布現場では問題だけど、よくないことばかりではないんだねー
キャビテーションがなくなったら困るわっ! 12回コース申し込んじゃったのにっ!

エステのキャビテーションではなくて、今回は塗布現場でのキャビテーション問題についてじゃよ。。

液体内の気泡 液体内の気泡
液剤入りシリンジを使用する場合、 塗布作業の前に気泡が混入されてない状態に準備しておくことが重要です。 解凍、冷凍の際に気泡が混入(図1)することもあります。液剤をシリンジに詰め替える時にも注意が必要です。一見何も無いように見える液体でもマイクロバブルと呼ばれる極小の気泡が混入している場合があり、そのまま塗布をしていると、それらが凝集して大きな気泡となって顕在化することがあります。加圧状態ではマイクロバブルが抜けていかないため、一旦大気開放(真空状態は尚可)をすることをお勧めします。真空脱泡や撹拌機を使用して、事前に気泡を取り除く方法があります。シリンジ式で加圧中に気泡が混入することもあります。ピストンと液剤の間に気泡が入り込むと、ピストンが上下する「バウンシング現象」(図2)が起きることがあります。バウンシング現象 サンエイテックのRPEピストンを使えば、ピストンと液体の間に入ってしまった気泡をスムーズに排出して、液体を無駄なく掻き取ることができます。
また、タンク入りの材料を定量移送する時に、高粘度のため圧送能力が不足しバルブが空転状態になり、流体の圧力低下によってキャビテーションを起こすことも考えられます。その場合、高圧圧送式ポンプを使用して高粘度材料を安全で確実に移送することも大事なポイントです。
ディスペンサーの構造に起因する気泡
ジェットディスペンサーやニードル式バルブを使用する時、バルブ内部のニードル先端部がシート部から離れる時にエアーが引き込まれやすくなり、バルブ駆動部の高速上下運動によってキャビテーションが生成されることがあります。ボール部がシート部から離れる時に低圧部分が生じてそこにノズルから液体を引き込みます。 液体の引き込まれる距離が長いと、同時にエアーを吸収してしまい気泡の原因になります。

高速ジェットディスペンサーHYPERDOTは、エアーピストン式やピエゾ方式と異なり、液圧を使って駆動部分を上下させるので、気泡の発生を軽減します。HYPERDOTのダイアフラムジェット方式は、非常に小さいボール部とシート部の組み合わせた構造で、特に高粘度液剤のキャビテーション防止に有効です。

ワンポイント お問い合わせ気泡を発生させる要因は様々です。ディスペンサーの要因以外にも、高速吐出により液体が付着した地点で気泡が生じる場合があります。この場合、通常低速にするとある程度気泡の発生は抑えられます。また、塗布距離が短ければ気泡が軽減される傾向があります。液体付着後の気泡に対しては、ワーク自体を加熱することも対応の一つです。
気泡による塗布の問題でお困りのことがありましたら、ぜひ液剤塗布のサンエイテックにご相談下さい。
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