世界の先端技術メーカーでは、微小部品の製造工程において、信頼できる光反応型スポット硬化装置へのニーズがますます高まっています。
UV可視光硬化型接着剤は、反応速度、多様性、自動化への対応、無溶剤性などの利点により、多くの製造現場で重要な役割を果たしています。
最近のLED技術は照射強度と波長帯域の適用性において進歩を続けています。 OmniCure® LX405Sのようなハイエンド機種では、一般的なUV接着剤における光開始剤の吸収スペクトルに合致する365nmで最高8W/cm²、385nmで最高9.5W/cm²のスポット照射が可能です。 用途によってはLED式だから得られる数多くの特長ありますが、一方で、全ての用途でメリットが得られるとは限りません。LED式システムの選択は、最終的には「LED式で得られることの方が得られないことよりも重要」との判断によるものだと考えます。 OmniCure®シリーズはランプ式とLED式を揃えており、以下のニーズに合わせて最適な装置を選択されることをお勧め致します。
LED式vsランプ式放射スペクトル分布ハイエンド機種のLED式ヘッドでは20,000時間以上のライフを維持できます。どのタイプのランプ式ランプよりも長寿命で、 稼働コストが大幅に削減できます。
LED式のスペクトルバンド幅は、低温での硬化に有効な10nm程度です。部材が不必要な波長を吸収してしまうリスクを軽減します。
LED式はシャッターのないシンプル構造になっています。シグナル出力からUV照射までの時間が10ミリ秒以下を求められるような自動化量産ラインにも有効です。 また、LED式は、環境に優しく省電力です。ヘッドには水銀は含まれておりません。制御ボックスはランプ式より小型です。電気的にコントローラーと接続するのでランプ式でのライトガイド接続と比較して、自動機への搭載や長距離間で連動させるような用途に適しています。
LED式の出力はランプ式の20%以下なので、硬化に必要な照射強度を得るために、レンズを使用して非常に小さなスポットサイズに集光しています。LED式で効果的なスポットサイズは、通常、3~4mm程です。
多くの標準的な接着剤には、ランプ式の幅広いスペクトル出力を活用できるよう、異なる吸収スペクトルを持つ、いくつかの光 開始剤が含まれています。LED 式のスペクトル出力は範囲が狭いので、これらの接着剤に対してランプ式ほど効率的に硬化できないことがあります。
硬化の深度は、より長い波長光(400nm以上)やピーク照度を利用することで高まります。そのため、より高い硬化深度が求められる用途にはLED 式では十分に対応できない場合があります。
レンズを組み合わせるLED式では、狭帯域のスペクトル分布でビームパターンが狭いので、ラジオメーターを使用して正確な放射測定値を得ることが困難です。定期的な照度較正が行われない場合、劣化速度が遅いとはいっても、最終的に硬化品質に影響を与えてしまうことが考えられます。 ランプ式とLED式の出力比較によれば:ランプ式では最初の500時間で約20%出力が低下し、その後の2,500時間でさらに25%減衰しています。これにより、標準のランプ寿命は3,000時間となっています。 一方LED式では、最初の500時間で約10%出力が低下し、その後の19,500時間でさらに40%減衰しています。これにより、標準のLED寿命は20,000時 間としています。 多くのアプリケーションでは、最初の500時間は出力を定期的にモニターすることを求められることがあります。そのように、 ラジオメーターで継続的な出力測定が求められる用途にはLED式は最適とは言えません。
LEDが適しているアプリケーション LED式の個別のアプリケーションへの適用に関しては以下の点をご留意下さい。
近年、LED式でもランプ式と同等の硬化特性が得られる接着剤が増えてきましたが、LED式では対応できないものが多くあります。 ランプ式からLED式へ切り替えをご検討の場合、ご使用の接着剤との適合性を試験してご確認されることをお勧めしております。
LED式 | ランプ式 | |
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波長 | 365-400nm | 250-600nm |
UVA 波長の適用性 | 単波長 | 複数のピーク波長 |
光出力 | 最大 320mW(365nm) | 最大1.3 w |
ピーク照度 | 最大9500mW/cm²(385nm) | 10500 w/cm² |
消費エネルギー | 低消費電力 | 高エネルギーが必要 |
環境への適合性 | 水銀不使用 | ランプに水銀含む |
オン/オフ時間 | 瞬時に切り替え可能 | 4分のウォームアップ時間 |
光源寿命 | 20,000時間~ | 標準で3,000から4,000時間 |
スポットサイズ | 最大3-10mm | ライトガイド、ライトラインなどのアクセサリ 製品で多様性あり |
接着剤の選択 | 限定されているが増えている | 比較的幅広い |
部材の選択 | 熱の影響を受けやすい部品や薄膜フィル ム、薄膜プラスチック、発泡プラスチック、 紙製、革製等の精密部材にも適用可能 部材へのダメージ(変形、溶出) を軽減 | 適切なフィルターを選択して同じ部材にも適用可能 |
アクセサリ部品の選択 | 限定されている | 種類が多い |
アプリケーション | 適用波長による制限あり | 多くの用途に適用 |