

ディスペンサー技術ガイド
この記事は、ディスペンサーノズルについて知りたい方や、製造現場でノズル選定に悩む方に向けて書かれています。
ディスペンサーノズルの基礎知識を中心に実際の使い方まで、幅広くわかりやすく解説します。
これからノズルを選ぶ方や、最適なノズルを探している方に役立つ情報をまとめたガイドです。
まず、ディスペンサーとは、液体やペースト状の材料を一定量、正確に吐出・塗布するための装置です。主に製造業や研究開発の現場で、接着剤、薬液、グリス、インク、食品など多様な材料の塗布に使われています。
ディスペンサーの役割は、手作業では難しい微量かつ均一な塗布を自動化し、作業効率や品質の向上を実現することです。用途によっては、半導体製造や医療機器、電子部品の組み立てなど、精密さが求められる分野でも活躍しています。
(ディスペンサーについてはこちらもご覧ください)
ディスペンサーにはノズルが必要不可欠です。ノズルはディスペンサーからワークへの最後のアプローチ場所となり、吐出サイズや塗布形状を決定する、とても重要な役割を担っています。そういう意味ではノズルはディスペンスの最後の砦といったところでしょうか。
ディスペンサーの先端部品を指す言葉には「ノズル」と「ニードル」がありますが、両者には明確な違いがあります。
ノズルは液体の出口全般を指し、形状や材質、サイズが多様です。
一方、ニードルは針状の細長いノズルで、特に精密な塗布や狭い場所への塗布に適しています。
用途や塗布する材料の性質によって、どちらを選ぶかが重要なポイントとなります。
ノズル
ニードル
ディスペンサーとノズルは、塗布作業の精度や効率を左右する密接な関係にあります。
ディスペンサー本体が液体の量や圧力を制御し、ノズルがその液体を狙った場所に適切な形状・量で吐出します。
ノズルの選定を誤ると、液だれや詰まり、塗布ムラなどのトラブルが発生しやすくなります。
そのため、ディスペンサーの仕様や塗布材料の特性に合わせて、最適なノズルを選ぶことが重要です。
ディスペンサーノズルは、主に本体部分と先端部で構成されています。
本体はディスペンサー本体に接続され、先端部から液体が吐出されます。中には一体成型の物もあり、本体部分と先端部の区別が無いものもあります。
ノズルの内径や長さ、先端形状は、塗布する材料や用途に応じて選択されます。
また、材質もステンレス、プラスチック、テフロンなど多様で、耐薬品性や耐久性が求められる場合は金属製が選ばれることが多いです。
ノズルの構造によって、塗布の精度や作業効率が大きく左右されます。
ここからは、代表的なノズルの種類や用途をご説明していきます。ディスペンサーノズルには、汎用ノズル(ニードルノズル、テーパーノズル等)、微小塗布用ノズル(精密ノズル等)、特殊ノズル(テフロンノズル、楕円ノズル、ブラシノズル等)、金属ノズル等、様々な種類があります。
ニードルノズルは狭い場所への塗布に適していますし、テーパーノズルは粘度の高い液剤の塗布に使用します。広い面積を塗布する場合は、ブラシノズルやフラットノズルを使用しますし、微細な塗布をする場合には精密ノズルを用います。
用途に合わせてノズルを選定することでより効率的に安定した塗布を実現することが可能です。
ノズルの材質は、塗布する液剤の種類や使用環境に大きな影響を与えます。
一般的には、ステンレス(SUS)、プラスチック(PE、PP)、テフロン(PTFE)などが使われます。
ステンレスは耐久性と耐薬品性に優れ、腐食性の高い液剤や高温環境にも対応可能です。これは精密ノズルとニードルノズルの針部で使われています。
プラスチック製はコストが低く、軽量で使い捨て用途にも適しています。これは、ニードルノズルのハブ部とテーパーノズルで利用されています。
テフロンは非粘着性と耐薬品性が高く、特殊な薬剤や瞬間接着剤などの塗布に最適です。
材質選びは、液剤の性質や作業コスト、メンテナンス性を考慮して行いましょう。
ノズルの形状や内径は、塗布の精度や液剤の流動性に直結します。
細い内径は微量塗布や精密作業に適していますが、粘度の高い液剤では詰まりやすく、また、残圧による液だれが起きやすくなります。
逆に太い内径は流動性が高く、大量塗布や高粘度材料に向いています。
また、先端形状によっても塗布パターンや作業性が変わります。丸い形状であればラウンド型に塗布され、楕円や幅広のスリット型であれば幅広横長形状に塗布されます。また、外径サイズは塗布サイズに影響をします。内径サイズで流れて来た液剤は外径サイズまで広がりそこで塗布されますので、狙いの塗布サイズがある場合は外径をターゲットにします。
用途や液剤の特性に合わせて、最適な形状・内径を選ぶことが重要です。
| 細い内径 | 低粘度・精密塗布・微量塗布 | 残圧による液だれが起きやすい |
| 太い内径 | 高粘度・大量塗布 | 塗布の微細コントロールができない |
ノズル選びは、塗布する液剤の種類や粘度、塗布量、作業環境によって大きく異なります。
例えば、電子部品の微細塗布にはニードルノズル、広範囲・大量の接着剤塗布にはテーパーノズルが適しています。
また、腐食性の高い液剤には耐薬品性の高い材質を選ぶ必要があります。
作業効率や品質向上のためにも、用途ごとに最適なノズルを選定しましょう。
安定した塗布と高い精度を求める場合は、精密ノズルや高品質なニードルノズルが推奨されます。
これらのノズルは、液剤の飛散やムラを抑え、均一な塗布を実現します。
また、ノズルの内径や長さを細かく調整できる製品を選ぶことで、さらに精度を高めることが可能です。
自動化ラインや品質管理が厳しい現場では、信頼性の高いメーカーのノズルを選ぶことも重要です。
高粘度材料や大量塗布が必要な場合は、流動性に優れたテーパーノズルや広口ノズルが適しています。
これらのノズルは詰まりにくく、スムーズな塗布作業が可能です。
また、液剤の種類や塗布パターンに応じて、先端形状や材質も選びましょう。
作業効率を重視する現場では、メンテナンス性や交換のしやすさもポイントとなります。
各ノズルの具体的なご説明は今後のコラムで行っていきますので楽しみにお待ちください。
ノズルは消耗品であり、使用頻度や液剤の種類によって寿命が異なります。
ニードルノズルとテーパーノズルは先に述べたように1回限りの使い捨てが基本です。常にフレッシュな状態で塗布することで安定した塗布作業が可能になります。
精密ノズルに関しては、詰まりや液だれ、塗布精度の低下が見られた場合は、早めの交換又は清掃が推奨されます。先端形状の変形などが思わぬ塗布乱れを起こしている可能性もあります。塗布形状に異常が見られたらノズルをチェックすることも忘れないようにしましょう。
特に精密作業や品質管理が重要な現場では、定期的な交換スケジュールを設けると安心です。
使用状況に応じたメンテナンス記録を活用しましょう。
塗布作業を始める前には、ノズルやディスペンサー本体の状態をしっかり確認しましょう。
ノズルの詰まりや変形がないか、液剤が正しくセットされているかを点検します。
また、塗布する材料の粘度や温度が適切か、作業環境が清潔であるかも重要なポイントです。
事前にテスト塗布を行い、塗布量やパターンが仕様通りか確認することで、トラブルを未然に防げます。
効率的な塗布作業を行うには、ノズルの選定だけでなく、作業手順やディスペンサーの設定も重要です。
塗布速度や圧力、ノズルの移動パターンを最適化することで、ムラのない均一な塗布が可能になります。
また、作業中はノズルの先端を常に清潔に保ち、異物混入や液だれを防ぐことが品質向上につながります。
ディスペンサー塗布用ノズルには、ニードルノズル、テーパーノズル、精密ノズルなど多様な種類があります。それぞれの特徴や用途、メリット、デメリットを理解し、液剤や作業内容に合わせて選定することが重要です。材質や内外径、先端形状も選定のポイントとなります。塗布する材料の性質、作業の精度、コスト、メンテナンス性など多角的に検討することが大切です。
ノズル選定で迷った場合は、まず塗布する液剤の性質や用途を明確にしましょう。
メーカーのカタログや技術サポートを活用し、実際の作業条件に合ったノズルを提案してもらうのも有効です。また、サンプルテストやデモ機の利用で実際の塗布結果を確認することで、最適な選択がしやすくなります。
最終的には、実際の塗布テストや現場の声を反映させて、最適なノズルを選定することが成功のカギです。
サンエイテックは、ディスペンサー用ノズルの多様なバリエーションを提供しているメーカーです。
特にノズルの加工や精度は自信を持っております。生産性に優れたマルチノズルや、特殊加工ノズルなど、現場のニーズに応じた製品開発も強みです。
カスタムオーダーにも柔軟に対応しているため、特殊な塗布パターンや形状にも対応可能です。
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