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ディスペンサー技術ガイド
低粘度の防湿コーティング剤は、優れた濡れ性により複雑な部品形状にも追従しやすく、基板全体へ均一に塗布しやすいことから、電子機器の防湿保護工程において広く採用されています。
一方で、その高い流動性により、塗布後の広がりを制御しにくく、にじみや塗布範囲のばらつき、非塗布領域への材料侵入といった課題が発生しやすい特性があります。電子機器の高密度化に伴い、「必要な箇所へ必要な量だけ塗布する」選択的塗布への要求が高まっており、塗り分け精度と工程安定性の両立が重要となっています。
こうした背景を踏まえ、本稿では低粘度材料の塗り分けに有効な「フィルムコート方式」に着目し、その課題とアプローチについてご紹介します。
フィルムコート方式とは、液剤を一定幅で連続的に吐出し、帯状の塗布膜(フィルム)を形成する塗布方式です。吐出量・ノズル形状・走行速度などを組み合わせて制御することで、目的に応じた塗布幅や膜厚を形成しやすい点が特長です。
一般的なエアスプレー方式では、液剤を微粒化して塗布するため、条件によってはミストの飛散や周辺部への付着が発生する場合があります。
これに対し、フィルムコート方式は液剤を霧化せずに連続した膜状で供給するため、飛散を抑えながら塗布領域を制御しやすく、選択的なコーティングが求められる工程に適しています。
フィルムコート方式のイメージ
低粘度材料は流動性が高く、比較的少ない吐出量でも広がりやすい特性があります。一方で、塗布条件によっては液剤が必要以上に広がり、塗布幅や膜厚が不安定になる場合があります。
フィルムコート方式では、液剤を霧化せずに一定幅の膜状で供給するため、塗布時の飛散を抑えながら、目的の塗布パターンを形成しやすくなります。
また、吐出量とノズルの走行速度を適切に組み合わせることで、連続した塗布膜を安定して形成でき、塗布領域の境界を明確にしやすい点も特長です。
こうした特性により、コネクタ周辺や部品間など、非塗布領域との境界管理が重要となる基板の防湿コーティング工程において、有効な塗布方式の一つとなっています。

塗り分け塗布工程イメージ
低粘度材料は流動性が高いため、塗布後に液剤が広がりやすく、にじみや塗布範囲のばらつきが発生しやすくなります。その結果、非塗布領域への材料侵入や塗り分け不良につながる場合があります。
従来は、材料の広がりを考慮し、余裕を持ったマスキング設計が必要となるケースがありました。
そのため、
といった工程負担につながる場合があります。
従来の塗布方式では、塗布開始点・終了点に材料が滞留し、端部が膨らむ「ドッグボーン現象」が発生する場合があります。特に低粘度材料ではこの傾向が顕著になりやすく、塗布形状のばらつきや非塗布領域への影響につながるケースがあります。
フィルムコート方式では、液剤を連続した膜状で供給することにより、塗布中の飛散を抑えながら、一定幅の塗布パターンを形成しやすくなります。
さらに、ノズル形状や吐出の開始・停止タイミングを適切に制御することで、塗布端部の過剰な液溜まりを抑え、始点・終点を直線的なスクウェア形状に近づけることが可能です。従来の塗布方式で課題となりやすい端部の膨らみや塗布範囲のばらつきを低減し、より安定した塗り分けが期待できます。
主な改善効果として、以下が挙げられます。
ただし、実際の塗布形状は材料粘度、表面張力、基板表面の状態、吐出量、走行速度などによって変化します。安定した塗り分けを実現するためには、使用する液剤やワークに合わせた塗布条件の最適化が重要です。
フィルムコート方式を安定して実現するためには、塗布幅や吐出量を精密に制御できる装置選定が重要です。
当社のコンフォーマルコーティングバルブ「SV70」は、低流量領域でも安定したフィルム形成が可能であり、低粘度材料の塗り分け工程に適した塗布性能を実現しています。また、塗布端部を直線的に形成しやすく、始点・終点もスクウェア状に安定して塗布できるため、低粘度材料における塗り分け工程の安定化に貢献します。

低粘度防湿コーティング剤においては、「均一に塗布する」だけでなく、「塗布範囲を安定して制御する」ことが重要になります。
フィルムコート方式は、低粘度材料の広がりを制御しながら、塗布範囲や膜厚を安定して形成できる塗布方式であり、選択塗布工程における品質安定化や工程改善に有効な手法の一つです。特に、高密度実装が進む電子機器製造工程において、有効な塗布アプローチの一つといえます。