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ディスペンサー技術ガイド
前回の記事では、一液性エポキシ樹脂における「温度変化による粘度変動」と、その塗布への影響について解説しました。
しかし、実際のディスペンス工程では、温度だけでなく「使用時間の経過」によっても材料粘度が変化します。
特に一液性エポキシ樹脂では、
といった現象が発生する場合があります。
本記事では、一液性エポキシ樹脂において「なぜ時間経過で粘度が変化するのか」というメカニズムを中心に、ディスペンス工程への影響と対策について解説します。
一液性エポキシ樹脂は、使用時間の経過とともに粘度が徐々に上昇する場合があります。「1液なのに、なぜ反応が進むのか?」と疑問に思われることがありますが、一液性エポキシ樹脂は完全に反応しない材料ではありません。実際には、材料内部では非常にゆっくりと反応が進行しています。
一液性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂・潜在性硬化剤・触媒・各種添加剤などがあらかじめ混合された状態で構成されています。「一液性」と聞くと、使用するまで反応しない材料というイメージを持たれることがありますが、実際には材料内部ではごく緩やかに反応が進行しています。
通常、これらの材料は冷凍や冷蔵環境で保管されます。これは低温環境によって硬化反応を抑制し、材料の安定性を維持するためです。
しかし、使用時に常温へ戻すと、抑えられていた化学反応が徐々に進み始めます。この段階では、まだ完全硬化には至っていませんが、材料内部では分子同士の結合が少しずつ増加し、樹脂構造が変化していきます。さらに、部分的な架橋反応も進行することで、樹脂全体の流動性が低下していきます。その結果、材料は時間の経過とともに「流れにくい状態」へ変化し、粘度が徐々に上昇します。
つまり、一液性エポキシ樹脂の粘度上昇は、単なる温度変化だけではなく、常温復帰後に始まる「硬化前の初期反応」が大きく関係しているのです。
一液性エポキシ樹脂は、硬化反応を抑制するために冷凍または冷蔵環境で保管されることが一般的です。しかし、使用のために常温へ戻した時点から、材料内部では徐々に反応が進行し始めます。いわゆる「可使時間(ポットライフ)」が進行している状態です。
この段階ではまだ完全硬化には至りませんが、樹脂内部では分子結合や部分的な架橋反応が徐々に進み、流動性が低下していきます。その結果、時間経過とともに吐出抵抗が増加し、ディスペンス時の吐出量や塗布形状へ影響が現れる場合があります。
材料粘度が変化すると、ディスペンス工程では吐出状態にもさまざまな影響が現れます。特にエア圧式ディスペンサーでは、材料の流動性変化が吐出挙動へ直接影響しやすく、時間経過による粘度上昇が塗布品質のばらつきにつながる場合があります。
例えば、使用開始直後は安定していた吐出量が、時間の経過とともに徐々に減少し、設定した塗布量を維持できなくなることがあります。また、材料が流れにくくなることで塗布幅や塗布高さにも変化が生じ、塗布形状が不安定になるケースもあります。
さらに、粘度変化によって吐出時の液切れ性も変化するため、糸引きや塗布途切れ、液ダレなどが発生しやすくなる場合があります。特に微細塗布では、わずかな粘度変動でも吐出挙動への影響が大きく、安定した塗布品質を維持することが難しくなることがあります。
そのため、生産開始時には良好だった塗布条件であっても、長時間連続運転を行う中で徐々に塗布状態が変化し、品質ばらつきの要因となるケースは少なくありません。
材料粘度が高くなると、同じ圧力条件でも単位時間あたりの吐出量が減少するため、吐出時間を長くすることで塗布量を補正する方法です。例えば、従来は4秒で所定量を吐出していた場合でも、粘度上昇に応じて4.5秒、5秒と延長することで、塗布量を合わせることがあります。
一方で、吐出時間の調整だけでは、塗布開始時と終了時の形状変化や、塗布幅のばらつきまでは十分に補正できない場合があります。

ディスペンス用コントローラー
製品詳細はこちらエア圧式ディスペンサーでは、材料に加える空気圧を上げ下げすることで吐出量を調整することがあります。例えば、材料粘度が高くなって吐出量が不足する場合には、エア圧を上げることで材料を押し出しやすくし、塗布量を確保します。
逆に、粘度が低下して吐出量が増えすぎる場合には、エア圧を下げることで吐出量を抑えることがあります。この方法では材料粘度の変化がそのまま吐出挙動に影響しやすく、条件調整の頻度が増えると、安定した塗布品質の維持が難しくなる場合があります。

エア圧式ディスペンサー
製品詳細はこちら従来のエア圧方式では、吐出時間やエア圧の調整によって塗布量を管理することが一般的です。しかし、一液性エポキシ樹脂では、使用時間の経過とともに材料状態が徐々に変化するため、連続生産では安定した塗布品質を維持することが難しい場合があります。
そのため、使用時間の経過による粘度変動の影響を受けにくいディスペンサシステムを選定することが重要になります。 その対策の一つが、容積移送式ディスペンサーです。
容積移送方式では、吐出量を圧力ではなく「移送容積」によって制御します。使用時間の経過によって材料粘度が変化した場合でも、吐出量への影響を受けにくく、長時間の連続生産においても安定した塗布量を維持しやすくなります。
特に一液性エポキシ樹脂のように、使用時間の経過によって材料状態が変化しやすい液剤では、安定した塗布工程の構築に有効です。

容積移送式ディスペンサー
製品詳細はこちら一液性エポキシ樹脂の塗布条件の見直しや、粘度変動による吐出量ばらつきでお困りの際は、お気軽にご相談ください。 実際の材料やワークに合わせた塗布テストのご相談も承っております。